熱割れが起きやすいガラスの仕様に関して先回書き、網入りガラス、複層ガラスを取り上げました。
今回は、複層ガラスに関してさらに扱いたいと思います。ガラスの専門家ではありませんので、熱割れの観点に絞って解説しますが、ご参考までにお願い致します。
大きく分けて、複層ガラス(ペアガラス)を、Low-Eガラスが入っているものと、普通のガラスの物に分けて説明いたします。普通のガラス(フロートガラス)のものは、内側と外側共に普通のガラスです。バリエーションとしては中空層とガラスの厚さの違いぐらいです。
もう一つのLow-Eガラス仕様の複層ガラスが、本当にいろいろな種類があります。外側か内側のガラスの中空層側に、Low-E膜(特殊な金属膜)がコーティングされています。このLow-E層のあるガラスが、室内側か、室外側かで、断熱型か、遮熱型かに分かれます。家の中で使い分けられている場合も多いですので一概には言えませんが、大抵遮熱型は温暖な地域に、断熱型は寒冷な地域に設置される場合が多いです。

そして、ガラスの色が、グリーンやシルバーやクリアといった種類にも分かれています。
大抵、遮熱を主に考える時に設置されるのが、Low-E膜が室外側のガラスにあり、色がグリーンやブルーの複層ガラスです。このガラスは、複層ガラスの中では、比較的熱割れリスクが低いガラスとなっています。
以下に熱割れの観点でフィルムを貼った時のリスクの高低を示します。(あくまで全般的なもので、個々の製品で差があるので特に色の欄は順序が逆転する場合があります)
(これらは複層ガラスの種類の中での話で、リスクが高い方の種類なので熱割れが起きやすいとか、低いので熱割れが起こらないということをさすわけではありません。フィルムを貼る際は、熱割れ計算を行なってください。)
ガラスの色: シルバー > クリア > グリーン、ブルー、ブロンズ
タイプ: 断熱タイプ > 遮熱タイプ
ガラスの厚さ: 厚い > 薄い
中空層: 厚い > 薄い
中空層のガスの種類: クリプトン > アルゴン > 空気
サッシとの接合方法: 塩ビビート(最近の住宅の一般的なサッシに使われている) > 弾性シーラント(コーキングが使われているもの)
左側がよりリスクが高くなります。
色は、シルバーやクリアは比較的に日射を通しますが、グリーンなどは日射を遮断する量が多いです。そのことが関係しているようです。
上記のような差があるため、複層ガラスの種類によっては、熱割れのリスクが高く、一部の遮熱フィルムなどが貼れないということが出てきます。また上記の差は、ある特定のフィルムが貼れるか貼れないかの微妙な差に関係する場合があります。
そして、普通のペアガラスは、シルバーやクリアのあたりと同じくらいのリスクということになっています。私も、試算してみて意外に感じています。
上記のリスクの順序はあくまで目安です。家のガラスがリスクの高い方に当てはまるので、フィルムが貼れないというわけではありません。やはり、その個々のガラスで熱割れ計算を行い、リスク試算をする必要があります。
今回は、複層ガラスの熱割れリスクということで考えてきましたが、複層ガラス単体でもこれほど違いがありますが、これに外部要素(方角、地域差、影、カーテンの設置状況等)が影響してきます。
この外部要素に関しては、またの機会に取り上げたいと思います。